第121章

看護師の言葉に、三原由美は足を止めた。

松本お婆さんの呼吸が一瞬止まり、体がぐらりと揺れた。

坪田真耶は眉をひそめ、怒りをあらわにした。「何を慌てているの?安に何が起こるというの?」

看護師はつらい気持ちだったが、松本お婆さんの前では言いづらく、遠回しに言った。「松本安さんのモニターに異常が出ています。坪田先生、すぐに見に来ていただけませんか」

松本お婆さんは坪田真耶の手をぎゅっと掴み、震える声で言った。「真耶、安に何も起こらないわよね?」

坪田真耶は若い看護師の言葉を気にも留めず、平然と言った。「松本おばあさん、言ったでしょう。安には何も起こりません。ICUから移ったばかりですか...

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