第13章

病院に到着したのはすでに夜の六時を過ぎていた。三原由美は弁当箱を持って明の病室に入った。

彼女がドアを開けた瞬間、高波明の暗い目に一筋の光が差し込んだ。彼はベッドから飛び降り、裸足のまま三原由美の方へ駆け寄ろうとした。

しかし、冷たい床に足が触れた瞬間、三原由美の今日の注意を思い出し、慌てて頭を下げてどこかに飛ばしてしまった靴を探し始めた。

その間抜けな姿に三原由美は思わず笑い出し、手に持っていた弁当箱を掲げた。

「気をつけて、急がないでね。ママがチキンスープを作ったの、まだ熱いよ」

一方で仕事をしていた高波直俊は眉をひそめた。

「明はスープが好きじゃないんだ。母親として子供の好...

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