第132章

三原由美が階下に降りた後、高波直俊は風呂場に行ってさっと体を洗い、くつろげる部屋着に着替えて下りてきた。キッチンの入口に立ち、ドア枠に寄りかかりながら、忙しく立ち働く三原由美の姿を眺めていると、言葉では表せない温かさが胸の内に広がっていった。

このままずっと続けばいいのに、そんな贅沢な願いさえ抱いていた。

五年前、なぜ三原由美を大切にできなかったのか。あの忌々しいプライドと約束のために離婚してしまい、今のような状況を招いてしまった。

後悔など口にしたことのない彼が、初めて自分の決断を悔やんでいた。

数品の料理が出来上がり、三原由美が皿を運び出そうとして振り返ると、入口に寄りかかる高波...

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