第133章

三原由美は玄関に背を向け、高波直俊が耳をそばだてて盗み聞きしていることに気づかず、携帯電話で話しながら階段を上っていた。

相手が何を言ったのか分からないが、三原由美は顔いっぱいに笑みを浮かべていた。

「連絡しなかったわけじゃないの。最近あまりにも色々あって、時間がなかっただけよ」

高波直俊は顔が青ざめるほど腹を立て、嫉妬で胸がざわついた。

さらに三原由美の声が続いた。「食事?いいわよ、いつにする?」

食事?

高波直俊の心臓が「ドキン」と鳴り、沈み込んでいく。もっと情報を得ようとした瞬間、突然後ろから声が聞こえなくなった。振り返ると、三原由美の姿はすでになかった。

その場で少し迷...

ログインして続きを読む