第141章

高波直俊は携帯を取り出し、通話履歴を開いて、彼女に目配せした。

三原由美が彼の携帯を見ると、先ほど彼女が慌てて掛けた緊急電話が、なんと高波直俊のものだったことに愕然とした。

「私...110番じゃなかったの?緊急電話って110番じゃないの?」

高波直俊は彼女の質問には答えず、自分の言葉を続けた。「朝はお前に腹が立って仕方なかったけど、お前が死ぬのを黙って見てるわけにもいかなかった。だから、こっそり車でお前の後をつけていたんだ。なかなか出てこないから中に入ったら、三原雄介はお前がもう帰ったと嘘をついて、お前がここにいることを認めようとしなかった」

これを聞いて、三原由美は恐怖と後悔で胸...

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