第161章

三原由美は包帯で巻かれた彼の手に目を留め、昨日別れる時の約束を急に思い出した。「あら、ごめんなさい。昨晩高波家に寄るって言ったのに、遅くなりすぎて忘れてしまったわ」

彼女は近寄り、彼の手を優しく取り上げ、心配そうに尋ねた。「手はどう?骨折はしていないわよね?」

彼女の手が傷に触れた途端、高波直俊は大げさに息を飲み、苦痛に満ちた表情を浮かべた。「痛い、痛い、痛い……優しく触ってよ」

彼がそれほど痛がるのを見て、三原由美は慌てて尋ねた。「そんなに痛いなんて、もしかして骨折してるんじゃない?レントゲン撮ったの?どこにあるの?見せて?」

高波直俊は口をへの字に曲げ、つらそうに可哀想な声で言っ...

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