第163章

しばらくして、高波直俊は反応を示した。ポケットから携帯電話を取り出し、三原由美に電話をかけた。

視界の中で、三原由美と一条俊太はちょうど薄暗い街灯の下に差し掛かったところだった。

二人は足を止め、三原由美がポケットから携帯を取り出す仕草をした。しばらくして、携帯の向こうから彼女の澄んだ声が聞こえてきた。「どうしたの?まだ何かあるの?」

高波直俊は無表情で尋ねた。「今どこにいる?」

「病院よ!何か用?」

彼女のいらだった口調に、高波直俊は胸が痛むような思いをした。

「病院のどこにいる?雪が降ってきたから、傘を持ってないだろう。持っていくよ」

三原由美はためらうことなくきっぱりと断...

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