第173章

三原由美は胸がどきりと高鳴った。

彼女は自分が再び罠にはめられたことを悟った。

そしてこの女の手口は坪田真耶とそっくりだった。

彼女が坪田真耶に似ているのは感覚だけではなく、手口も心理戦も全く同じだった。

やはり。

高波直俊の好みは最初から最後まで変わっていなかった。

こういう偽善的で気持ち悪く、演技の上手い女ばかり好むのだ。

事態は急速に展開し、周囲の人々は二人が引っ張り合っているのを見ただけで、実際に誰が手を出したのかを見ていなかった。ただ誰かが倒れ、もう一人が押すような姿勢をとっていたのを見て、主観的に三原由美が先に手を出したと思い込んだだけだった。

「三原先生、どうし...

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