第183章

「トントントン」

三原由美の心臓は太鼓のように激しく鳴り、今にも喉から飛び出してしまいそうだった。

周囲は針が落ちるほど静かで、お互いの息遣いさえはっきりと聞こえていた。

三原由美は体が硬直し、一瞬よけることすら忘れていた。彼の薄い唇が徐々に近づき、見知らぬ息遣いが彼女に押し寄せてくる——

拡大する端正な顔を見つめ、三原由美はハッと我に返った。二つの唇がまさに触れ合おうとした瞬間、興奮した様子で彼を強く押しのけた。

反応は激しく、動きは大きかった。

一条俊太は不意を突かれ、よろめいてソファに倒れ込み、さらにソファから床へと転がり落ちた。後頭部がテーブルの角にしっかりとぶつかり、「...

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