第184章

一条俊太の電話は長く続いていた。三原由美は彼が何を話しているのか聞き取れなかったが、彼の表情から、この会話が決して愉快なものではないことがわかった。

通話を終えた一条俊太が部屋に戻ってくると、三原由美を見て明らかに戸惑いの色を浮かべた。

「まだ帰ってないの?」

声が震え、どこか興奮した様子が隠せない。

三原由美が部屋で自分を待っていることがどれほど彼を喜ばせているか、誰にもわからないだろう。

まるで暗闇の道の先にようやく微かな夜明けの光を見つけたかのようだった。

三原由美は彼の今の気持ちがどれほど高ぶっているのか理解できず、心配そうに尋ねた。「あなたが心配...

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