第194章

一方では。

三原由美は高波直俊を公共バス停の方へ引っ張っていった。

夜で、しかも大雪が降っていたため、周りには誰一人いなかった。

寒風がヒューヒューと吹き荒れていた。

三原由美は寒さに震えながら、両手をこすり合わせて尋ねた。「車はどこ?車の中で話しましょう」

高波直俊は怒っていたものの、彼女の両手が凍えて真っ赤になっているのを見ると、心配になり、優しく彼女の両手を握って左右のポケットに入れてあげた。

「どう?少しは暖かくなった?」

彼は裏起毛のコートを着ていて、ポケットの中はとても暖かかった。

しかし、ポケットよりも、彼の掌の方がさらに温かかった。

温もりが手の血管を伝って...

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