第22章

そんな深い想いの込められた眼差しを、三原由美は久しく見ていなかった。彼女の心臓が速く鼓動した。かつて高波直俊のこんな眼差しに魅了され、迷いもなく妻になったのだ。人生の最低迷期に寄り添ったのに、最後に得たものは裏切りと見捨てられることだけだった。

由美は心の中の乱れる思いを必死に押さえつけ、高波直俊の傍らを真っすぐ前を見て通り過ぎた。

坪田真耶は狼狽えながら地面から這い上がり、狂ったように高波直俊の元へ駆け寄り、彼の袖を掴んだ。

「直俊、説明させて。事情は違うの」

高波直俊は三原由美から視線を外し、無表情で坪田真耶を見つめた。その瞳には失望と怒りの感情が次々にに浮かんでいた。

これま...

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