第25章

高波直俊の声が聞こえた瞬間、三原由美はさっきの鋭くて果敢な様子を取り戻した。先ほどの脆さは高波直俊の錯覚だったかのように、彼女は何でもできる鎧を身につけ、いつも通りの無敵の三原由美に戻っていた。

「五年も実家に帰ってないのに、一度も電話なんてくれなかったくせに、今日坪田真耶が苦しんでるからって急に電話してくるなんて。電話で何か良いこと言うと思ってるの?」

高波直俊は不思議そうに三原由美を見つめた。なぜ彼女はいつも周りの人をこんなに悪く考えるのか理解できなかった。自分も、坪田真耶も、父親も、みんな三原由美にとって一番近い存在なのに、彼女はまるで彼らを排除しようとしているかのようだった。

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