第33章

御庭公館に戻ると、高波直俊は眠っている高波明を部屋に運んだ後、ベランダに出て、遠くを眺めていた三原由美に頭を下げた。心の中で何度も言葉を練り直し、三原由美がやや苛立ち始めるまで待って、ようやく口を開いた。

「すまない。お前の言うとおりだ。三原雄介は確かに偽善者だった」

三原由美は恐怖に満ちた表情で彼を見つめ、何か信じられないものを見たかのようだった。彼女は空を見上げ、太陽が西から昇っていないことを確認した。

「まさか高波社長が人に謝る日が来るなんて」

三原由美のこの皮肉に、高波直俊は珍しく怒らなかった。この二日間、彼は確かにひどい間違いを犯していた。ずっと坪田真耶と三原雄介の話ばかり...

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