第34章

高波直俊は安堵の息をつきながらも、三原由美を見つめる目に酸っぱさが滲んでいた。

俊太と何年も会っていないんじゃなかったのか?もう少し話さないのか?

胸に広がる苦々しさを抱えながらも、どう切り出せばいいのか分からない。自分にはそんな立場もないようで、千言万語も結局「なぜ戻ってきたんだ?」という一言になってしまった。

三原由美は彼を完全に無視し、食卓に並んだ料理を一つ一つ嗅いで、蜂蜜が入っていないことを確認してから、安心して高波明をテーブルの前に座らせた。

「明、いい子ね。早く夕ご飯食べようね。今日は早く寝て、明日ママが遊園地に連れていってあげるから」

遊園地という言葉を聞いた高波明の...

ログインして続きを読む