第37章

高波直俊が説得されてフリーフォールの方向に歩き始めるのを見て、三原智司は機転を利かせ、目をパチパチさせながらお腹を抑えて泣き始めた。

「いたたた、パパ、お腹が痛いよ」

さっきまで怒って三原由美を探し続けようとしていた高波直俊は慌てだし、温かい大きな手を三原智司の柔らかいお腹に当て、二、三回撫でてから抱き上げた。

「明、しっかりしろ、今すぐ病院に連れて行くから」

そう言うと二人は急いで立ち去り、田中和也と青木直樹を呆然と残した。

一方、鈴木紗季は息を切らしながらレストランに駆け込み、すでにその場で待っていた三原由美を見つけた。

「由美、早く、彼が来たわ」

三原由美は一瞬目を見開い...

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