第55章

三原由美は壁の広告板から伸びてきた藤原美香の両手に気づき、瞳を沈ませながら素早く身を翻して横に避け、彼女の魔の手から逃れた。

藤原美香は避けられるとは思わず、体のバランスを崩して前に倒れかけた。本能的に何かを掴もうと両手を伸ばし、三原由美の腕に触れようとした瞬間、三原由美はにやりと笑い、わざと腕を引いた。

「きゃあ……」

悲鳴が一つ響き、藤原美香は階段を転がり落ち、痛みで地面を転げ回り、悲痛な叫び声を上げ続けた。

三原由美は彼女に触られそうになった場所を払いながら、彼女の様子を確認しようと階段を降りかけたとき、突然坪田真耶が後ろから飛び出してきた。

続いて、高波直俊と高波明も現れた...

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