第60章

時間がどれくらい経ったのか分からないが、三原由美はようやく泣き疲れ、感情を吐き出し終えて、彼の胸から身を引いた。先ほどの恥ずかしい状況を思い出し、恥ずかしさで頭を下げ、顔の涙を拭おうとした。

しかし、手が顔に触れた瞬間、痛みに息を呑んだ。

先ほどは泣くことに精一杯で、痛みを感じなかった。

今になって気づいたが、顔が火照るように痛んでいた。

高波直俊はすぐに彼女の手を引き離し、優しい声で言った。「顔が痛いのか?少し待っていてくれ、氷を取ってくる。医者は冷やせば痛みが和らぐと言っていた」

三原由美は怖くて、彼の手を引っ張り、離れないでほしいと願った。

高波直俊は彼女の手を優しく撫でな...

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