第67章

高波直俊が近づいてくるのを見て、三原由佳は心臓が喉から飛び出しそうになるほど驚いた。

彼女は慌てて会計係から食券を受け取り、高波直俊が近づいてくる最後の瞬間に、高波明の手を引いて人混みに混じり込んだ。

高波直俊の視線が何気なく彼らの上を通り過ぎたが、突然何かに気づき、瞳孔が震えた。再び高波明のいる方向に目を向けたが、人混みの中に消えていく二人の背中しか見えなかった。

思わず眉をひそめる。

彼は無意識に足を上げて、二人を探しに行こうとした。

しかし一歩踏み出したところで、一人の人影が前に立ちはだかり、道を塞いだ。

鈴木紗季はわざと偶然を装って。「高波直俊、ど...

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