第72章

高波直俊の大きな手が彼女の顎を掴み、強引に顔を上げさせ、冷たく言った。「お前がやったことは、十回死んでも償えない。だが、子供の頃に俺の命を救ってくれたことを思えば、今回のことは不問に付す。これからは、お互い借りも貸しもなしだ」

坪田真耶は彼の手をきつく握り、激しく首を振った。「嫌よ、直俊、清算なんて嫌。私、本当にあなたを愛してる、あなたがいないと死んでしまう。お願い、婚約を解消しないで。約束するわ、これからは心を入れ替えて、二度と悪いことはしないから」

高波直俊は端正な眉を寄せ、容赦なく言い放った。「三つ子の魂百まで。お前の悪さは、もう骨の髄まで染みついている」

坪田真耶は必死に否定し...

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