第87章

ボスの怒りに感じとった高波久人は船長の胸を思い切り蹴った。

「小川健は今どこにいる?」

船長は胸の痛みに耐えながらも声を出すことができず、震える手で貨物船の後ろを指した。「彼、彼は数人の船員と一緒に救命ボートで向こうに行きました。遺体が見つかるかどうか確認して、雇い主に報告するためです」

「遺体」という言葉を聞いた高波直俊の顔は、一瞬にして恐ろしい閻魔のような表情に変わった。

「高波久人、全員を呼び戻して海から引き上げろ。それから江下のすべての捜索チームに連絡して、最新の機器を準備させろ。どんな代価を払っても三原由美を見つけ出せ!」

「どんな代価を払っても」という言葉を発するとき、...

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