第9章

「お前は大嘘つきだ!俺のことが嫌いなんだろう?俺なんかいらないんだろう?出て行けよ、もうお前なんか見たくない!」

発狂した高波明は、手の甲に刺さっていた点滴の針を引き抜いた。その瞬間、鮮血が噴き出し、三原由美の顔に飛び散った。

三原由美は反射的に高波明を抱きしめようとしたが、暴れ出した明の手がむやみに振り回され、噴き出す血に恐れをなして強く抱きしめることができず、ただ見守るしかなかった。明は病室をめちゃくちゃに荒らし始めた。

高波直俊はその様子を見てすぐに駆け寄り、明をしっかりと抱きしめた。傍らで黙っていた坪田真耶は素早く鎮静剤を取り出し、強制的に明に注射した。

さっきまで誰の話も聞...

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