第98章

田中和也が急に気づいた。船長がこっそりと後ろを振り返る光景が脳裏によみがえった。

すぐに騙されたと悟り、一つ呪いの言葉を吐くと、甲板へと引き返した。「隊長、彼らの船員を一人一人確認してくれ。貨物船のどこにも見つからないなら、奴らは間違いなく船員の中に紛れ込んでいる」

隊長は彼の言葉で目が覚めた。

「そうだ！我々が探しているのは人間で、貨物じゃない！隠れていれば逆に目立つが、服を変え船員に紛れ込めば、我々は疑いもしないだろう」

田中和也は怒りで携帯を投げ出しそうになった。

ほっと一息ついたばかりの船長は、田中和也たちが引き返してくるのを見て、喜びもつかの間だった。...