第10章 誰を愛し

鈴木念と佐藤明里はホテルを出た後、近くのカフェでコーヒーを飲むことにした。

「まさか帰国したばかり、こんなドラマに巻き込まれるなんてね。裏切られたって知ったとき、傷つかなかったの?」

佐藤明里は鈴木念に興味津々で尋ねた。

鈴木念は首を横に振った。

「最初はちょっとカッコいいから付き合ってみただけ。まさか顔だけで、中身は全然ダメな男だったとはね。私のお金を使って他の女を囲むなんて、幸いにも彼と寝る前に気づいてよかったわ。そうじゃなかったら、もっと損してたかも」

鈴木念はコーヒーを一口飲んで、ふと佐藤明里を見つめた。

「ところで、明里はどうなの?藤原信一とはうまくいってる?」

佐藤...

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