第110章 今のイケメンはね

平沢景行が振り向くと、五十嵐雪菜の姿があった。

五十嵐雪菜がタバコの匂いを嫌うことを思い出し、彼は反射的にタバコを消して捨てた。

五十嵐雪菜は彼の仕草を見て、胸のつかえが一瞬で下りた。

彼女は知っていた。平沢景行は自分を責めたりしないと。あの女を殺したとしても、彼は自分に手を下す気にはなれないだろう。

「どうしてここに?」平沢景行が尋ねた。

五十嵐雪菜は手に魔法瓶を提げ、優しい声で言った。「景行、朝ごはんにスープを作ってきたの。あなたの大好きなシーフードスープよ」

平沢景行の瞳が温かさを増した。海外での非人道的な日々の中で、五十嵐雪菜が作ってくれたスープは彼にとって唯一の温もりだ...

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