第116章 この事にあなたは関与しましたか?

佐藤明里は知っていた。彼がこのドアを出れば林田雪乃に会いに行くことを。

しかし今日は彼を行かせるつもりはなかった。離婚したくないなら、その誠意を見せるべきだ。

彼女が林田雪乃を気にしていることを知りながら、何度も何度も彼女のために自分を傷つける。

それが離婚したくないという意思表示なのだろうか?

「佐藤明里、無理を言うな。用事があるんだ」

「出かけるのは林田雪乃に会うためじゃないって言い切れる?」

藤原信一は黙り込んだ。確かに林田雪乃に会うつもりだった。だが理由がある。彼女に尋ねたいことがあったのだ。

「藤原信一、あなたは林田雪乃の気持ちを知っているでしょう。彼女があなたを愛し...

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