第164章 一線

藤原信一はペンを強く握りしめ、冷たい眼差しを向けた。「試してみればいいでしょう」

彼の目から溢れる威圧感に、一瞬、藤原忠一は背筋が凍るような恐怖を感じた。

この息子の冷徹さは、今に始まったことではなかった。

この世でおじいさんと母親だけが彼の庇護を受け、今はさらに女が一人増えた。

結局、自分という父親には何の関係もない。

藤原忠一は考えれば考えるほど心が冷えていった。かつてこの小僧に敗れて国外に追いやられた今、何としても別の息子のために一席を勝ち取らねばならない。

「信一、お前が私を追い詰めなければ、親子でそこまでの事態にはならないだろう」

藤原信一は目を上げ、冷ややかな表情で...

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