第183章 星野海

星野海は彼女の足首を片手で握りながらも、薬を塗るのには何の支障もなかった。

手にはディスポーザブルのゴム手袋をはめ、軟膏には清涼鎮痛成分が含まれていた。

その心地よさに鈴木念は足の指まで丸めこみ、頭の中は自分の大きく響く鼓動でいっぱいになった。

星野海はそんな彼女の様子を見ていたが、表情は相変わらず淡々としていて、特に変化はなかった。

薬を塗り終えると、彼は手袋を外してゴミ箱に捨て、ついでにテーブルの上にある平沢景行が買ってきたお粥も一緒に捨ててしまった。

しばらく外に出た後、再び戻ってきた彼は保温ポットを持ち、ベッドを起こした。

「僕が食べさせましょうか?それとも自分で食べます...

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