第200章 ただ君を愛せない

「鈴木念!」

平沢景行は突然一秒で暴走した。

彼は猛然と鈴木念の腕を掴み、片手で彼女を引き上げた。

「お前、頭おかしいのか。出て行けと言ったんだ!さっさと出て行けと!聞こえなかったのか!」

彼の手の力は強く、鈴木念の骨が砕けるほど痛かった。

だが心は腕よりも痛かった。

鈴木念は若気の至りで平沢景行という悪魔に関わってしまった自分を激しく憎んだ。

それが両親と鈴木家全体に大きな災いをもたらしたのだから!

鈴木念の顔には涙が溢れていた。泣いていても声を出さず、ただ体が抑えきれずに震えていた。

女の無言の涙は鋭い刃のように、平沢景行の心臓を容赦なく刺し貫いた。

傍らで見ていた五...

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