第39章 あなたにあげられるのは奥さんという肩書きだけ

林田雪乃は男の審視する眼差しに気づき、急に胸が慌ただしくなった。

小林さんに本家の使用人を買収させたことで知った情報だったから。

これは絶対に言えない!

「雪乃、僕は騙されるのが嫌いなんだ!」

彼女が黙っているのを見て、藤原信一は近づき、鋭い目で冷たく警告した。

「信一さん、私を疑っているの?」

林田雪乃は言葉を最後まで言い切る前に、大粒の涙がこぼれ落ちた。辛さが極まっていた。

「どうやって知ったかって?もちろん推測よ。あなたがおじいさんにあんなに優しくするのは、彼を悩ませたくないからでしょう!」

藤原信一は冷たい目で彼女を見つめ、心を動かされた様子はなかった。

林田雪乃は...

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