第54章 私はあなたに夢中になった

「手伝って……」彼は情熱的に言った。

その夜、佐藤明里は自分の一時の優しさを後悔していた。

何もしなかったのに、したよりも疲れる。

やはり男の口から出る言葉は、嘘ばかり。

……

前夜の疲労のせいで、佐藤明里は十時になっても目覚めなかった。

古田圭が入ってきても、彼女は起きなかった。

古田圭は服を届けに来たのだ。

ドアを開けた瞬間、佐藤明里が藤原信一の腕の中で熟睡している姿が目に入った。髪は少し乱れ、肩が露わになっていた。美男美女の、どこか色気のある光景だった。

しかし、藤原社長が怪我をしたんじゃなかったのか?

この姿勢、一体どちらがどちらの世話をしているのだろう??

だ...

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