第76章 私たちは終わった

医者は言った、「老人の最新検査結果では、全身の機能が衰えており、いつ命を落としてもおかしくない状態です。この状況では入院を続けるのも無意味ので、ご家族は老人を自宅に連れ帰り、何か願いがあれば早めに叶えてあげることをお勧めします」

佐藤明里は医者のオフィスを出ると、魂が抜けたようになった。

足取りはおぼつかなく、全身から力が抜け、長椅子に座り込むしかなかった。

介護士の佐々木さんが彼女を見つけ、血の気のない顔色を見て、急いで駆け寄った。「佐藤さん、どうしたんですか?」

佐藤明里は言葉が出なかった。携帯電話を取り出したが、手が激しく震え、ボタンを押す力さえ失っていた。

震える声で言った...

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