第46話

駐車場を駆け抜けて、最下層に車を見つけた。ドアロックを解除し、バッグをシートの上から後部座席へ放り込んだ。鍵をイグニッションに差し込んで回したが、何も起こらない。ダッシュボードを確認したが、ライトが点灯しない。もう一度イグニッションを回し続けると、大きな悲鳴のような音を立てた。

「お願い、今だけは」とダッシュボードを叩きながら言った。ようやく車が始動した。

「見た目は悪いけど、必要な時には頼りになる子なのよ」とドアを閉め、バックで出ようとしたところ、車の横がボラードに擦れた。しまった、私が酷い運転手だと言ったのは嘘じゃなかった。駐車場から飛び出し、高速道路に向かったが、ガソリンが必要だと気...

ログインして続きを読む