第60話

私はデスクに座っていた時、テオが彼のオフィスから出てきた。トビアスも少し遅れて彼のオフィスから出てきた。私は立ち上がり、出発の時間だと悟った。

「準備はいい?」トビアスが尋ねた。

「できる限りの準備はできたわ」と私は言って、デスクの下からハンドバッグを取り出し、肩にかけた。私たちはトビアスの車へと向かった。車が動き出した瞬間、もう後戻りはできないと悟った。シートベルトが急に拘束具のように感じられた。私たちは都市を離れ、私の死期を決める人々に会いに向かっていた。

車で約45分かかった。トビアスが車を止めたのは、木々に囲まれた人里離れた場所にある廃校のように見える建物の前だった。私たちは車か...

ログインして続きを読む