第296話

ザックとハーモニーは視線を交わし、ジョンが到着したのか、あるいは心配したザンダーが戻ってきたのかと思った。

ドアが開いたが、ジョンでもザンダーでもなく、一人のウェイトレスが入ってきた。彼女はハーモニーに敬意を表しながら近づき、小さな紙袋を差し出した。

「ジャクソンさん、こちらの軟膏はあなたのためです」

軟膏?

ハーモニーは袋を受け取り、中を覗くと、引っかき傷を治療するための専用の軟膏が入っていた。

彼女の手の傷を知っていたのは、彼女自身とザック、そしてザンダーだけだった。

無言で去ったザンダーが、これを送るよう手配したのだろうか?

ザックはくすりと笑った。「ほら、やっぱりね。ザン...

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