チャプター 404

「あなただけが分かってくれるの。どうしたらいいか分からない。お願い……来て」

ハーモニーの声がスピーカーから途切れ途切れに聞こえてきた。弱々しく、震えている――本物と見紛うばかりに巧みに作り上げられた、偽りの脆さだった。

ザンダーはソファに座ったままこめかみを揉み、ため息をついた。鼻の付け根をつまみ、どうにか忍耐を保とうとする。

「ハーモニー、落ち着け。深呼吸するんだ、いいな? 何があったか話してくれ」

彼の声はしっかりしていた。込み上げてくる苛立ちが彼を蝕んでいたが、冷静さを保とうと努めていた。

ザンダーは背後で静かに忍び寄る足音にも、床板のかすかなきしみにも気づかなかった。

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