チャプター 419

アリアナはボールルームの隅、シャンデリアの柔らかな光の真下あたりに立って、ドレスの生地にそっと指を滑らせていた。

心臓が早鐘を打っていた――ありえないほど速く。ハーモニーの厚かましさ、毒、そしてあの純粋な悪意――そんな考えが頭の中をめまぐるしく駆け巡っていた。

もう少しで――

その時、温かい腕が後ろから彼女の腰に回された。

ザンダーの香りがすぐに彼女を包んだ――清潔で、馴染み深く、心を落ち着かせる香り。ムスクのコロンと、彼ならではの何かが混じり合った匂いだ。

彼が身を屈め、唇が彼女の耳を掠める。

「今夜の君がどれほど美しいか、もう言ったかな?」

アリアナは微笑んだ。彼の声に包まれ...

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