第18話

「大丈夫ですか、お嬢さん?」

彼女は衛兵の問いかけにも心配にも応えることができなかった。今の感情を表す言葉が見つからなかった。それは胸から爆発しそうだった。彼女はこんな状態でアドルフに会うことはできなかった。

「もう入れますよ」

彼女は首を振り、くるりと身を翻して、できるだけ早く自分の部屋へ走って戻った。兵士が追いかけてきたとしても、彼女にはその気配が聞こえなかった。

悲しみと安堵が彼女の中で争っていた。もし彼女がローラだった頃、アドルフがこんなことを言ってくれていたら。もし物事が違っていたら、彼らは全く違う場所にいて、彼女は前世の最後の瞬間にルナであることを後悔する必要はなかっただろう。女神...

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