第76話

ディリアは手に紙を持って財務室へ向かった。予算増額の承認がなぜこんなに時間がかかっているのか分からなかったが、それは時間の問題だと知っていた。財務大臣はバジルを満足させることに力を入れていた。バジルは彼女を満足させることに力を入れていた。そして彼女が望むのは、好きなように使えるお金が増えることだけだった。彼女が事務所に着くと、受付係の女性が恐る恐る彼女を見上げた。ディリアは机の上に書類を置いた。

「いつも通り硬貨でお願いするわ」と彼女は女性が書類を取る間に言った。「急いでもらえる?やることがあるの」

「申し訳ありません、ディリア様、これはお受けできません」

ディリアは緊張し、女性を睨みつ...

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