295話

長い一日だった。議論の日。交渉の日。そしてヴィクターの最高位をめぐる賛否両論の日。ヴィクターは窓を見やり、外に迫る夕暮れを確認すると深いため息をつき、携帯電話に目をやった。イヴリンからは返信が全く来ていない。彼女にしては珍しいことだが―

それでも、ここでやるべきことがあまりにも多く、それについて考える時間はほとんどなかった―

ヴィクターは部屋の中を見回し、国内で最も強力な四十人のアルファたちが投票用紙を握りしめながら互いに静かに話し合っている様子を見た。彼らは一人ずつ、ゆっくりとこの目的のために会議室に変えられたボールルームの前方にある投票箱へ近づき、票を入れていく。ヴィクターはもちろんす...

ログインして続きを読む