85話

アレックスが振り向くと、彼の目は漆黒で、胸と腕には黒い血管が走っていた。彼の顔には不敵な笑みが浮かび、それがフレイヤの背筋に悪寒を走らせた。普段彼女を見るときに感じる心地よいものではなく。彼は今、絶対的な悪の姿をしており、フレイヤはこれが現実に起きていることが信じられなかった。もしこうなったらどうするか二人は話し合っていたが、彼女はそこまで事態が悪化するとは信じたくなかった。しかし彼の目を見つめると、そこには何もなく、そんな考えは吹き飛んだ。彼女のメイトはもういなかった。彼女の心は砕け散り、様々な感情が押し寄せてきたが、最も強かったのは悲しみだった。頭の中では、セラフィーナとセレスティアが彼ら...