第12章:テイスト

ハナ

彼の言葉に不意を突かれ、頭が混乱でくらくらする。一体、何の話をしているの?

きっと冗談に違いない。

「何? どういうこと、ジョン?」私は彼を押し退け、考えるためのスペースを必要とした。

「去年の暮れにあったネイサンの誕生日パーティー……何も覚えてないのか? まったく……一瞬、全部が駆け引き――誘惑の一部なのかと思ったよ」

「覚えてないわ、ジョン。覚えてたら、あんなこと絶対にしなかった」

「それはどうかな、ダーリン」彼の唇に、かすかな笑みが浮かぶ。

「何の話をしてるの?」と私は訊ねた。今度はいつもより苛立っている。秘密にはもううんざりだ。

「こっちへおいで。もっとち...

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