チャプター 153

ルーカス視点

厳重警備施設とは、スイスアルプスにある改築された修道院のことだった。八百年の風雪に耐えた石壁と、間違った木にスズメが一羽とまっただけで検知できるほどの最新のセキュリティシステムが完備されている。セーフハウスとしては見事なものだった。刑務所としては、豪華絢爛と言っていい。

だが、スカイラーが割り当てられた部屋の端から端まで歩き回るのを、この三日間で百度目になるだろうか、見つめながら俺は思った。他者を守ることを自らのアイデンティティとしてきた彼女にとって、そんな贅沢は何の意味も持たないのだと。

「イタリアでの作戦が崩壊しかけてるわ」彼女はタブレットから目を離さず、石の床を行ったり来...

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