第197章

ジャックス視点

あのアカデミー賞の舞台に立ってから二十年後、俺は全く種類の違うスポットライト――ハーバード大学医学部の講義室に立っていた。トラウマ心理学に関する年次学会で、基調講演を行うためだ。人生の前半を精神的なダメージを与えることに費やしてきた人間が、今やそれを癒す専門家と見なされているのだから、皮肉なものだった。

「従来のトラウマ回復モデルでは、癒しにはトラウマの原因からの距離が必要だとされています」俺は精神科医、ソーシャルワーカー、そして大学院生からなる聴衆を見渡しながら言った。「ですが私の経験から示唆されるのは、時にはその原因を何か意味のあるものへと変えることが癒しに必要だというこ...

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