第40話

40. 恍惚の霊

エマラ・ストーン

ライアンは私の手をしっかりと握り、ガラスのドアの中へ歩いていく。ホールは見事で、壁も天井も床までもがガラスと鏡で作られている。十歩ごとに大きな赤いバラの花束が置かれ、ビクトリア朝の雰囲気を醸し出している。背景に流れる柔らかな音楽が、さらに優雅な雰囲気を場に添えている。

ライアンはまっすぐ歩き、まるで魔法のように全ての人の注目を集めていく。私はあまりの注目度に耐えられず、彼の後ろに隠れようとする。男性たちが彼を競争相手として見る一方、女性たちは肩を伸ばし、唇を噛みながら、貪欲な目で彼を舐めるように見つめている。

ライアンは振り返る。...