第156話

バナラン人の首都は、まるで別の惑星のように感じる。

どこを見ても水晶が私たちの頭上に聳え立ち、これまで見たこともないほど精巧な形に彫刻されている。街を歩くシフターたちは友好的で、好奇心をオープンに示し、私たちはガブリエルが地元の人々と会話して私たちを紹介するために何度も立ち止まる。すべてが簡単で平和で、嘘も秘密もなく、ただ狼たちが調和して開けっぴろげに暮らしている。

ガブリエルを見ていると、強いけれど思いやりがあり、容赦ないけれど心が開かれた指導者の姿が見える。彼は知的で、私のメイトと同じくらいの生の力を持っているが、シンクレアの持つ危険な鋭さには欠ける。ガブリエルも追い詰められれば相当致命...

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