第313話

「エラ!」私が聞いたのは、家の玄関のドアが開くのと同時に響いた姉の声だった。私はすぐにシンクレアのオフィスの椅子から立ち上がり、腕の中で目覚めて穏やかに過ごしているレイフを抱きながら、開いたドアのほうへ向かった。

「コーラ!」私は声をかけた。彼女が私を探していたリビングルームから振り返り、廊下を私のほうへ小走りに近づいてくるのが見えた。ロジャーも後ろから入ってきて、家の玄関ドアを閉めている。コーラは近づくなり、すぐに私の肩に両手を置いた。

「大丈夫?あなた大丈夫なの?」彼女は息を切らせながら私を見回し、それから赤ちゃんに視線を落とした。私たち二人が無事で安全な姿を目の前にして、彼女の表情に...

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