第13章 今日離婚したら、明日でも俺が貰う

その手に導かれるように顔を上げると、藤原大輔の姿が目に入った。

今日の彼は清潔な白いワイシャツに、ピシッとしたスラックス、埃一つない黒い革靴という出で立ちで、爽やかでかっこよかった。

「不倫相手として、随分と図々しいじゃないか。厚かましいと言う前に、不倫相手としてその立場が既になくなってることに気付かないのかな?」

藤原大輔の声は落ち着いていて、表情も変わらなかったが、その威圧感は十分すぎるほどだった。

彼が軽く手を振るだけで、秋山美咲は大きな衝撃を受けたかのように数歩後ずさり、渡辺光に支えられてようやく踏みとどまった。

渡辺光は藤原大輔に指を向けながら、怒りを込めて言った。

「...

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