第22章 負けられない人は、必ず負ける

私の鼓動が一瞬止まった。考え過ぎかもしれないが、藤原さんの言葉には何か深い意味が隠されているような気がした。

正直、私は今でも彼がどんな人なのかよく分からない。ただ、私にとって、彼は良い人だということだけは確かだ。

黙り込んでしまった私を見て、藤原さんはふっと口元を緩め、身を乗り出して私のグラスに再び酒を注いだ。

「感謝するなら、この程度じゃ足りないよ。もっと飲まないと、本気度が伝わらないな」

一瞬にして私は気まずくなった。男女の仲なんて考えるんじゃないわよ。

「そうそう、ありがとうなんて形式的すぎる。本気の気持ちを見せてよ。どれだけ飲めるか、それが誠意の証だからな」

田中さんま...

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