第25章 どうしてそんなに可愛いの

私は落ち着いて玉子焼きを作り続けていた。彼の言葉に動揺する様子も見せなかった。

「女に頼るな」

最初に頭に浮かんだ皮肉な言葉だったが、しばらく考えた末、言うのを我慢した。

藤原大輔はずっとその場を離れず、背中に視線を感じ続け、私は妙に緊張していた。

「その服、似合ってるよ」突然彼が評した。

私は身に着けているベージュのワンピースを見つめ、考える間もなく言葉が口をついて出た。

「彼女の服を私に着せて平気なの?」思わず意地の悪い口調になってしまった。

彼は答えず、私も振り向かなかったが、彼の唇に浮かぶ笑みが想像できた。

「彼女がいるって一度も言わなかっただろう?」笑いを含んだ声で...

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